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UIとUXを両立させるデザインシステム設計

現代のWeb開発において、見た目の整ったUIと心地よいUXを両立させるデザインシステムの設計と運用方法を解説。技術者・デザイナー・プロダクトマネージャーが共有できる実践的なアプローチを紹介します。

2025/6/12
8分
S.O.

UIとUXを両立させるデザインシステム設計

現代のWeb開発やプロダクト開発において、「見た目の整ったUI」と「心地よいUX」を両立させることは成功の鍵です。そこで注目されるのが、デザインシステム(Design System)の導入と運用です。単なるスタイルガイドを超えて、設計思想・UIコンポーネント・アクセシビリティ・ユーザー体験の設計方針まで包括するこの枠組みは、一貫した体験と高い開発効率を同時に提供します。


🎯 UIとUXの違いと両立の難しさ

項目UI(User Interface)UX(User Experience)
定義画面の見た目、配置、視覚的要素使いやすさ、満足感、利用の文脈
目的一貫性・美しさ・可読性快適さ・操作性・感情への訴求
成果物コンポーネント、スタイル、レイアウトユーザーフロー、フィードバック、導線設計

多くの現場では、「UIの統一性」を追求するあまり、ユーザー行動や使いやすさ(UX)が後回しになってしまうケースが見られます。UIとUXは補完関係にあり、切り離しては成立しないという前提のもと、両者をつなぐ仕組みがデザインシステムです。


🧩 デザインシステムとは?

デザインシステムとは、プロダクトに関わるすべての人が共通認識を持ち、一貫したUIとUXを生み出すための「ルールと資産の集合」です。以下の要素が中核をなします。

✅ コンポーネントライブラリ

  • Button, Card, Modal, Tooltip などの再利用可能なUIパーツ
  • 開発環境(React/Vueなど)で再利用可能な実装とドキュメントを備える

✅ スタイルガイド(トークン設計)

  • 色、余白、フォント、シャドウなどのデザイントークンを定義
  • プロダクト間のブランディング統一

✅ UXガイドライン

  • フォームのバリデーション表示、エラーメッセージの書き方
  • モーダルの開閉動作、フィードバックのタイミングなど
  • ストレスの少ないユーザーフローや操作性に関する指針

🛠 両立の鍵は「使われるシステム」

理想的なデザインシステムは、ルールが厳しすぎず柔軟性があり、現場で使われ続けるものです。以下の3点が特に重要です。

1. UX観点を組み込んだUI設計

コンポーネント設計において、「どう見せるか」だけでなく「どう使わせるか」を意識する必要があります。

例:

TSX

// 非推奨: 視覚的には一貫していても使いづらい
<Button variant="primary" onClick={submitForm}>Submit</Button>

// 推奨: 非活性やローディング状態を含めてUX考慮
<Button
  variant="primary"  
  onClick={submitForm}
  disabled={isSubmitting}
  loading={isSubmitting}
>
  {isSubmitting ? "送信中..." : "送信"}
</Button>

→ 見た目だけでなく、操作体験にも責任を持たせる設計が重要です。

2. コンポーネントは"挙動"まで含めて統一

「Hover時のアニメーション」「トーストの表示タイミング」「エラーメッセージのインライン表示」など、ユーザーの行動に対する反応(=インタラクション)もコンポーネント仕様に含めましょう。

要素見た目の統一挙動の統一
Buttonサイズ・色クリック効果・disabled対応
ModalレイアウトEscで閉じる、オーバーレイクリックの有無
Formラベル・余白バリデーション・リアルタイムフィードバック

3. アクセシビリティの標準装備

WCAG 2.1 AA などのガイドラインに準拠するアクセシビリティ要件を、コンポーネントレベルで標準搭載することで、UXの品質を引き上げられます。

  • ラベルとコントロールの適切な紐づけ
  • キーボード操作への対応(Tabで操作可能など)
  • スクリーンリーダーへの対応(aria-* 属性の設定)

📦 導入と運用のステップ

1. デザインとフロントエンドの共通言語を定義(色・余白など)
2. UIパーツをAtomic Designベースで分類
3. コンポーネントの仕様にUX的考慮を含める
4. Storybookなどでコンポーネントのカタログ化
5. Linter/CIでの運用ルールを整備

→ このサイクルを継続的に回すことで、UIの一貫性とUXの滑らかさを保ちつつ、開発効率も向上します。


まとめ

UIとUXの両立は、「見た目の統一」と「使いやすさの追求」を同時に達成するという、ある種矛盾を含む課題です。しかし、デザインシステムという共通基盤を築くことで、その矛盾は再現性ある設計と運用によって解決可能になります。

  • UIの一貫性は、チームでの認識を揃える
  • UXの質は、ユーザーの感情と目的に寄り添う
  • 両者を繋ぐデザインシステムが、スケーラブルなプロダクトの鍵

開発者・デザイナー・プロダクトマネージャーが共に使える"共有資産"として、デザインシステムを設計・運用することが、堅実で魅力あるユーザー体験を生み出す土台となるのです。


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